今回は、「至近の求人・離職率」についてお話します。
離職率とは、一定期間に何人社員が離職したかを表す割合です。特に新卒社員の離職率は問題になることが多く、1年・3年・5年以内の離職率が一つの目安となっています。
何パーセントから高いと一概にはいえませんが、離職率が平均して20パーセントを超えるようだと注意が必要です。当記事では、離職率の現状などについて詳しく解説します。
中卒新入社員と高卒新入社員については753の法則から改善していることがわかります。一方、大卒新入社員については定説の通り30%前後の離職率で推移しているのが現状です。いずれにしても、新規学卒者の早期離職を防止することは喫緊の課題といえます。
新規学卒者の一括採用が一般的な日本においては、新卒社員の早期離職が問題となっています。
とりわけ入社後3年以内の離職率が高い傾向にあり、「753現象」などといわれ長年問題視されてきました。
753現象とは、中卒新入社員のおよそ7割、高卒新入社員のおよそ5割、大卒新入社員のおよそ3割が入社後3年以内に離職する傾向にあることを表しています。
近年では、中卒新入社員と高卒新入社員については753の法則から改善しています。
一方、大卒新入社員については定説の通り30%前後の離職率で推移しているのが現状です。いずれにしても、新規学卒者の早期離職を防止することは喫緊の課題といえます。
日本では近年、離職率の高さが問題視されています。
そもそも、なぜ離職率がここまで注目を集めているのでしょうか。
①.労働人口の減少
高齢化が急速に進行している日本において労働人口の減少は社会的な問題です。
出生率は年々低下し少子化も進行していることから、今後ますます人材の確保が難しくなってくることが予想されます。そのような社会経済環境において、会社にとっては既存の雇用をいかに維持するかが喫緊の課題です。
人材を確保し事業活動を継続するため、離職率および離職率を改善する取り組みが注目を集めています。
②.人材の流動性の高まり
新卒社員の一括採用が当たり前に行われている日本においては、年功序列や終身雇用などが採用されてきました。
しかし、バブル崩壊後の経済低迷により年功序列や終身雇用の維持が困難となり、欧米型の成果主義や年俸主義、ジョブ型雇用などが相次いで導入されます。
このような社会経済環境の変化に伴い、若年層を中心に会社に対する帰属意識が希薄となりつつあるなか、より良い職場を目指して転職することも一般的なキャリアアップの方法です。
人材の流動性が一気に高まった結果、優秀な人材を確保するため離職率を改善する取り組みが注目を集めています。
①働き方の柔軟性(リモートワークなど)の対応ができていない
柔軟な働き方が実現できていない会社は、離職率が高い傾向にあります。
例えば、コロナ禍で一般的となったリモートワークや在宅勤務が廃止されたり、出社を強制されたりすると、社員の不満は高まる可能性があるでしょう。
ワークスタイルに不満を覚えた社員は、より柔軟な働き方を実現できる会社へ転職を検討するかもしれません。
ワークライフバランスが重要視される現在では、会社は多様な働き方へのニーズに答える必要があるのです。
②勤務時間の長さ
勤務時間が長く、長時間労働が常態化している会社は、離職率が高くなる傾向にあります。
時間外労働や休日労働、深夜労働は社員の健康に悪影響を及ぼすのが一般的です。
長時間労働は社員の心身に大きな負担を与え、モチベーションも低下させます。
心身の健康を害しモチベーションの低い状態では生産性も低下するため、会社の業績へも悪影響を及ぼしかねません。また、長時間労働が当たり前のワークスタイルではワークライフバランスが損なわれるため、仕事に対する不満にもつながります。
仕事に不満を感じた社員は離職や転職を検討するため、結果として離職率が上昇してしまうのです。
③業務内容に対する報酬が適切でない
業務内容に対し報酬が適切でないケースでも、離職率は高まるのが一般的です。
仕事に見合った報酬を得られていない場合、社員は自身の能力が正しく評価されていないと感じ、モチベーションが大きく損なわれます。
モチベーションが低下した社員は離職や転職をする可能性が高く、離職率が上昇するのです。優秀な人材の流出を防止するには、仕事に見合った十分な報酬を提示しなければなりません。
④意味のない業務・非効率な業務が多い
意味のない業務や非効率な業務が多い職場は、社員のモチベーションが低下し離職率が高まります。
例えば、誰にでもできるような定型的な作業にやりがいを見いだすことは難しいでしょう。
前時代的で非効率な業務は、社員の不満に直結します。仕事に不満を感じた社員は、よりやりがいのある仕事へ転職を検討するかもしれません。
人材の流出を防ぐには、DXなどによって単純作業の機械化や業務の効率化を推進し、仕事の質を高めることが重要です。
⑤休暇を取ることに心理的抵抗感がある
働くことを良しとする風潮が根強く、休暇を取りにくい職場も離職率が高まります。
有給休暇の取りやすさはもちろん、産前産後休業や育児休業、介護休業の取りやすさは、働きやすさに直結する非常に重要な要素です。
特に日本では、結婚や出産、育児、介護など、ライフステージの変化に合わせて離職するケースが目立ちます。離職率を改善するには、福利厚生を整備すると同時に、休暇を取りやすい職場の雰囲気を醸成することが重要です。
1位:宿泊業・飲食サービス業
就職後3年以内の離職率が最も高い業界は、宿泊業・飲食サービス業です。
新規高卒就職者のおよそ6割、新規大学卒就職者のおよそ5割が就職後3年以内に離職してしまうため、非常に離職率の高い業界といえるでしょう。
具体的には、ホテルや飲食店のスタッフが該当し、離職率が高い理由としては「顧客からのクレーム」「長時間労働や不規則な勤務形態」「低い賃金」などが挙げられます。
2位:生活関連サービス業・娯楽業
宿泊業・飲食サービス業に次いで就職後3年以内の離職率が高いのは、生活関連サービス業・娯楽業です。
具体的には、理髪店や美容院、映画館やパチンコ店などのスタッフが該当し、離職率が高い理由としては「キャリアアップが見込めない」「景気動向に左右されやすく将来性が不安」「体力的な負担が大きい」などが挙げられます。
3位:教育・学習支援業
3番目に就職後3年以内の離職率が高いのは、教育・学習支援業です。
具体的には学習塾の講師や学習教材の開発販売会社などが該当し、離職率が高い理由としては「長時間労働や不規則な勤務形態」「膨大な業務量」「業務量に見合った賃金が得られない」などが挙げられます。
長くお話しましたが、離職率が高いとネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、低いからと言って必ずしも働きやすい企業とは限りません。
あくまでも数値であることを念頭に入れておきましょう。
とはいえ、毎年離職率が高い場合は、今一度離職の要因や改善点を確認する必要があります。
全ての企業が、自社の離職率を理解し、自社に合った対策を立てていきより良いワークライフにして行って欲しいですね!
ご拝読いただき、ありがとうございました。